クローン病

クローン病とは

クローン病クローン(Crohn)病は原因不明の腸管の炎症性疾患です。
クローン病は厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の特定疾患のひとつに指定されています。潰瘍性大腸炎も含めて、炎症性腸疾患:IBD(inflammatory bowel disease)とも呼ばれます。
難病に指定されていますが、適切な治療をして症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を続けることが可能です。
クローン病は若年者に圧倒的に多いのが特徴です。
男性では20歳代、女性では10歳代に発病のピークがあります。
おおくは小腸や大腸などの消化管に炎症が起きる事で、びらんや潰瘍ができる原因不明の慢性の病気です。
主な症状としては、腹痛、下痢、血便、発熱、肛門付近の痛みや腫れ、体重減少などがあります。
また、さまざまな合併症が現れる事があります。

クローン病の原因

クローン病の原因は、根本的には不明です。
現時点ではっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝的なおうさまざまな環境因子が作用し腸粘膜の免疫調整機構が障害されて炎症を生じると考えられています。

クローン病の症状

クローン病の症状全身のあらゆる消化管に、浮腫や潰瘍を形成することにより症状を引き起こします。
クローン病の症状は患者さまによってさまざまで、病気の状態によっても変わります。
症状としては、腹痛と下痢が最も高頻度に見られます(70-80%)。
そのほかには発熱や栄養障害や血便・貧血、関節炎、痔ろうなどが現れることもあります。

クローン病の検査方法

血液検査で特異的なマーカーなどは存在しません。ですので、消化管の造影検査や胃カメラ検査・大腸カメラ検査を中心に行っていきます。
海外ではカプセル内視鏡も使用しますが、日本では認可されていません。
クローン病はしばしば腸管に狭窄(狭いところ)を形成しますので、カプセル内視鏡が通過できないことがあるためです。

クローン病の治療法

治療の3本柱は、薬物療法、栄養療法、外科的治療(手術)です。

薬物療法

薬物療法主に軽症の場合は一部のステロイドや炎症抑制薬が用いられ、炎症が強い場合には、炎症抑制作用が強いステロイドが用いられます。
免疫調節薬(免疫を抑制するプリン拮抗薬など)、生物学的製剤である抗体製剤などが用いられることもあります。

炎症抑制薬

腸の炎症を抑える働きがあります。

ステロイド

一部のステロイドは強力な炎症抑制作用を示す薬剤です。

免疫調節薬

クローン病には過剰な免疫反応が関係していると考えられています。
この薬は免疫反応を抑制するものです。
薬剤の濃度が安定するまで数ヵ月かかる場合がありますが、活動期の症状を寛解に導く効果と寛解を維持する効果、ステロイドの使用量を減らす効果があります。

抗体製剤

クローン病で過剰に増加する体内物質は、腸の炎症を引き起こす原因の1つと考えられています。
これらの働きを抑え、炎症を軽減させる薬です。

栄養療法

食事からの刺激を減らして腸の炎症を鎮めつつ、栄養状態を改善していくために、栄養剤を投与する治療方法です。
経腸栄養療法と完全静脈栄養療法の2種類があります。

経腸栄養療法

液体の栄養剤を口から服用するか、鼻からチューブを入れて投与します。消化の過程を必要としない消化態栄養剤・成分栄養剤と、消化の過程を必要とする半消化態栄養剤があります。

完全静脈栄養療法

重度の狭窄がある場合、広範囲な小腸病変が存在する場合、経腸栄養療法を行えない場合などに用いられます。太い静脈にカテーテルを留置して高濃度の栄養輸液を投与します。

外科的治療

内科的治療では十分な効果が得られず、社会生活が困難なときには手術が必要となります。
日本では、発症後5年で約30%、10年で約70%の患者さまが何らかの手術を受けています。
クローン病は病変部を取り除いても再発しやすいため、できるだけ腸を残すような術式がとられます。

血球成分吸着除去療法

血液を腕の静脈から体外に取り出し、特殊な筒(カラム)に血液を通過させることにより炎症を起こしている血液成分(主に血球成分)を吸着させて取り除き、また血液を戻す治療法が行われることもあります。

内視鏡的バルーン拡張術

狭窄を起こした腸管まで内視鏡が到達する場合には、内視鏡を用いてバルーン(風船)で狭窄を広げることもあります。

TOPへTOPへ