大腸がん

大腸がんとは

大腸は消化吸収が行われた食べ物の最終処理をする消化管で、主に水分を吸収します。
この部位に上皮性の悪性腫瘍が発生した場合に大腸がんと呼びます。 できる場所によって大まかに「結腸がん」と「直腸がん」に分けられます。
日本人では直腸とS状結腸に多く発生し、若年者の大腸がんでは遺伝的な素因もあるようです。
がんの部位別死亡率で、女性においては不動の1位です。
大腸がんは早期発見・早期治療で完治する可能性が高い為、ご家族に大腸がんの方がいる患者さまや40歳以上の血便がでた方は内視鏡検査を強くお薦めいたします。

大腸がんの原因

大腸がんの原因大腸がんの発生原因はまだわかっていませんが、生活習慣、特に食生活との関わりが深いと考えられており、大腸がんの発生は、欧米食の特徴である高脂肪、高蛋白かつ低繊維成分の食事と正の相関関係にあり、生活様式が強く関係していることが明らかになっています。
牛や豚、羊といった赤身の肉、ハムやソーセージなどの加工肉をよく食べる習慣や、低繊維・高脂肪の食事、過度な飲酒、喫煙は発症のリスクを高めます。
さらに遺伝との関連性も指摘されており、家族に大腸がん、もしくは胃がん、子宮体がん、卵巣がんなどを患った人がいる場合は、がんになりやすい体質であることが疑われるので注意が必要です。
大腸がんが発生する過程は、腺腫と呼ばれるポリープが悪性化するパターンと、最初から悪性腫瘍として発生するパターンの2通りがあると考えられています。
また、家族性腺腫性ポリポーシスという、大腸に無数のポリープが発生する遺伝性の病気は、治療せず放置するとほぼ100%がんになるといわれています。
大腸がんのリスクを低下させる予防法として、運動習慣は確実にリスクを低下させる要因とされています。 また、食事では、野菜と魚をしっかり食べることが大切です。
食物繊維の多い食品、にんにく、牛乳、ヨーグルト、カルシウムの多い食事が、大腸がんリスクを低下させることが確実視されています。

大腸がんの症状

大腸がんの症状初期の段階では自覚症状がまったくないというケースも多く、進行すると症状が出ることが多くなります。
症状としては、血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、体重減少などがあります。
最も頻度が高い血便、下血は痔などの良性の病気でもみられるため、そのままにしておくとがんが進行してから見つかることがあります。
大腸がんの早期発見のために早めに消化器科、胃腸科、肛門科などを受診することが大切です。
がんが進行すると、おなかにしこりを感じたり、慢性的な出血による貧血や、腸が狭くなる(狭窄する)ことによる便秘や下痢、おなかが張るなどの症状が出ることがあります。
さらに進行すると腸閉塞となり、便は出なくなり、腹痛、嘔吐などの症状が出ます。

大腸がんの検査方法

大腸がんの検査方法大腸がんは、一般的には検診(便潜血の陽性反応)を契機にして精密検査を行い、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行うことで診断が確定します。
がんであった場合にはCT検査、MRI検査などによって腫瘍や大腸の状態を詳しく観察します。
内視鏡検査では腫瘍の形や大きさ、色、広がり具合などを鮮明な映像で確認でき、注腸造影検査はがんの正確な位置や深さを調べるのに役立ちます。
そのほか、肛門から指を入れて直接しこりに触れる直腸指診、腫瘍の一部を顕微鏡で観察する病理検査、放射性の薬剤を使ってがんの全身への転移を確かめるPET検査などを症例に応じて行い、転移の有無や進行度合いも含めて診断を確定します。

大腸がんの治療法

大腸がんの治療方法は、内視鏡治療(大腸カメラによる治療)、外科的切除(手術)、化学療法(抗がん剤治療)があります。

内視鏡治療(ESD)

内視鏡治療(ESD)早期大腸がんのうち、表面にとどまっているもの、リンパ節転移の心配が少ないものは、おなかを切らずに内視鏡治療を選択することが多くなっており、最も体に負担の少ない治療方法です。
切除の方法には、内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があり、病変の大きさや部位、肉眼で見た形(肉眼型)、予測されるがんの広がりの程度などによって治療方法が決定されます。

外科的切除(手術)

内視鏡治療でがんの切除が難しい場合、進行がんで、なおかつ切除が可能な範囲に限定した転移であれば外科的切除を行います。
手術では、がんの部分だけではなく、肺や肝臓といった他臓器に転移している可能性がある部分も、状況によっては手術で全てを切除することもあります。
また最近では、腹腔鏡下での切除も選択されることが多くなっています。
炭酸ガスでお腹を膨らませて、お腹に開けた孔から電気メスやカメラを差し込みがんを切除する方法です。
傷も小さく、術後の痛みも少なく、入院期間も短いことなどが特徴です。

化学療法(抗がん剤治療)

化学療法は抗がん剤治療のことで、薬剤を用いてがん細胞をおさえる治療のことです。
手術前や手術後に行うこともありますし、大腸がんが進行しており手術では対応できないときに選択することもあります。化学療法が高い効果を示した際には、手術を行うということもあります。
口から服用する方法と静脈内に注射する方法があります。
いずれも薬剤が血液の流れに乗って全身のがん細胞に影響します。
手術後の再発を予防するために行う場合(補助化学療法)とがんが明らかに身体の中に残っている状態で行う場合があります。

著者

新宿高田馬場駅前おだぎ内視鏡・
消化器内科クリニック
院長 小田木勲

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略歴

 
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