食欲不振が続くと感じたら…
「最近あまり食べられなくなった」「お腹は空くけど、食べたい気持ちにならない」「すぐにお腹いっぱいになる」「体重がなんとなく減っている」といった悩みを年齢や疲労、季節のせいと考えていませんか?
一時的なものであれば心配ないこともありますが、食欲不振が数日〜数週間続く、あるいは他の症状も伴う場合には、消化器系の病気が隠れている可能性があります。
食欲不振とは?
「お腹が空かない」だけでなく
「食べたくない」も?
食欲不振とは、これまで通りの量が食べられなくなる状態を指します。
「食べたい気持ちがわかない」「何を食べてもおいしく感じない」「すぐ満腹になる」といった状態も含まれます。
症状の現れ方は人それぞれですが、胃腸の不調が背景にあるケースが多く、原因に応じた対応が必要です。
食欲不振の主な原因
ピロリ菌感染・慢性胃炎
ピロリ菌が原因で、胃の粘膜が炎症を起こしている状態です。
慢性胃炎の状態では、胃酸の分泌が低下し、消化機能も落ち、「なんとなく食欲がない」「胃が重い」といった症状が続くことがあります。
「様子見」で済ませない方がいい
食欲不振のサイン
- 食欲不振が1週間以上続いている
- 体重が明らかに減ってきた
- 胃もたれや膨満感が強くなってきた
- 胸やけやげっぷを伴う
- 排便の異常(便秘・下痢・血便など)がある
- 50歳以上で初めて症状を自覚した
- 家族に胃がん・大腸がんの既往歴がある
こうしたケースでは、早めの受診と精密検査が重要です。
当院での検査
当院では、食欲不振の原因を明らかにし、必要な治療につなげるための検査・診療を行っています。
胃カメラ検査
食欲不振の背景に、胃炎・胃潰瘍・胃がん・逆流性食道炎などの胃の病気が潜んでいる場合があります。胃カメラでは、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察でき、炎症や腫瘍の有無を確認可能です。原因を正確に突き止め、早期治療につなげられる重要な検査です。
大腸カメラ検査
慢性的な便秘や下痢、腸内ガスの滞留が胃の圧迫や消化機能低下を招き、食欲不振の一因となることもあります。大腸カメラでは大腸ポリープ、炎症、がんなどを詳しく調べることができ、消化管全体のバランスを評価するのに役立ちます。
血液検査
肝臓・腎臓の機能低下、甲状腺ホルモンの異常、貧血、がんの兆候なども食欲不振の原因となります。血液検査では、全身の健康状態を把握できるため、内臓疾患や代謝異常などを広くチェックし、隠れた病気の早期発見につながります。
ピロリ菌検査
ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、胃酸の分泌異常や胃の働きの低下を招くことで、食欲不振の原因となることがあります。ピロリ菌感染は簡単に検査でき、感染が確認されれば除菌治療が可能です。
食欲不振の治療
原因に応じて適切な対応を
当院では、検査結果に基づき、以下のような治療を行います。
胃酸分泌抑制薬・粘膜保護薬
(逆流性食道炎・胃炎に)
逆流性食道炎や胃炎が原因で食欲が低下している場合、胃酸の分泌を抑える薬(PPIやH2ブロッカー)や、胃粘膜を保護する薬を用いることで、炎症を改善し、胃の不快感をやわらげます。症状が軽減することで、自然に食欲も回復していきます。
胃腸機能改善薬・漢方薬
(機能性ディスペプシアに)
胃の動きが低下している「機能性ディスペプシア」には、消化管の運動を促進する胃腸機能改善薬や、体質に応じた漢方薬が効果的です。胃のもたれや膨満感が和らぐことで、少しずつ食欲が戻る方も多く、継続的な治療が有効です。
ピロリ菌除菌治療
(感染が確認された場合)
ピロリ菌に感染していると、慢性的な胃炎が生じ、胃の働きが低下しやすくなります。感染が確認された場合は、抗菌薬と胃薬を組み合わせた除菌治療を行います。除菌に成功すると胃の炎症が改善され、食欲不振の解消につながることがあります。
生活習慣改善のアドバイス
(食事・睡眠・ストレス管理)
不規則な生活やストレスも食欲不振の大きな要因です。当院では、消化にやさしい食事のとり方、十分な睡眠時間の確保、ストレスとの付き合い方など、生活習慣改善の具体的なアドバイスも行っています。薬物治療と併用することで、根本的な改善を目指します。
よくある質問
食欲不振が続いていますが、病院に行くべきでしょうか?
数日程度で改善する一時的な食欲低下は心配ありませんが、1週間以上続く場合や、体重減少・胃の不快感・吐き気を伴う場合は、胃腸の病気が原因の可能性があります。早めに内科や消化器科を受診し、検査を受けることをおすすめします。
食欲不振の原因としてどんな病気が考えられますか?
胃炎・逆流性食道炎・機能性ディスペプシア・ピロリ菌感染・腸疾患・肝機能障害など、さまざまな消化器系の病気が食欲不振の原因となります。ストレスやホルモン異常が関係していることもあるため、検査で正確な原因を特定することが大切です。
胃カメラ検査はなぜ食欲不振の診断に必要なのですか?
食欲不振の背景に、胃潰瘍や胃がん、慢性胃炎、逆流性食道炎などが隠れていることがあります。胃カメラでは、これらの病気を直接観察して診断できるため、原因を特定し、的確な治療につなげるために非常に有効な検査です。
食欲不振に対して漢方薬は効果がありますか?
はい。機能性ディスペプシアなど明確な病変がない場合でも、漢方薬は体質や症状に合わせて選べるため、消化機能の改善や胃腸の働きを整える効果が期待されます。当院では西洋薬との併用も可能で、患者様に合わせた治療を行っています。
食欲不振の改善には生活習慣も関係しますか?
もちろん関係します。食事の時間が不規則だったり、睡眠不足やストレスが強いと胃腸の働きが乱れ、食欲が低下しやすくなります。当院では、薬による治療に加え、食生活や睡眠、ストレス管理など生活習慣の改善も重視しています。
「なんとなく食べられない」は
身体からのサインかも?
消化器専門医へ相談
食欲不振は、「ちょっとした体調不良」として見過ごされがちですが、消化器疾患のサインとして現れることも多く、早期の受診・検査が重要です。
当院では、消化器内視鏡専門医が、患者様一人ひとりの症状に応じた検査・診断・治療を丁寧に行います。不安な気持ちのまま我慢せず、どうぞお気軽にご相談ください。